衛生工学衛生管理者に試験はない

衛生工学衛生管理者に「免許試験」はありません。厚生労働大臣が定める講習を受け、修了試験に合格して取得する免許です。そのため合格率も公表されていません。受講には第一種衛生管理者免許試験の合格など7つのルートのいずれかが必要で、受講料は5日コースで151,800円です。

合格率が出てこないのは、試験ではないから

「衛生工学衛生管理者 合格率」で調べても数字が出てこないのは、 そもそも合格率という指標が存在しないからです。

第一種・第二種の衛生管理者は、安全衛生技術センターで免許試験を受けて取ります。 これに対して衛生工学衛生管理者は、厚生労働大臣が定める講習を受け、修了試験に合格して取る免許です。 受験申請をして落ちる、という形式の試験ではありません。

安全衛生技術試験協会が毎年公表している免許試験の合格率一覧にも、衛生工学衛生管理者の行はありません。 講習を実施している中央労働災害防止協会も、修了試験の合格率や修了率を公表していません。 したがって「合格率は◯%」と書かれている情報は、公表値ではなく受講者の体感や推測にもとづくものです。

ただし、修了試験がある以上、受けさえすれば必ず取れるわけではありません。 講習は数日間に凝縮されているため、その場で理解して消化する負荷は小さくありません。

受講できるのは誰か

講習は誰でも申し込めるわけではなく、次のいずれかに該当する必要があります。 第一種衛生管理者免許試験に合格していることも、そのひとつです。

  1. 大学または高等専門学校で工学または理学に関する課程を修めて卒業した者
  2. 大学改革支援・学位授与機構により工学または理学に関する学位を授与された者
  3. 第一種衛生管理者免許試験に合格した者
  4. 大学で保健衛生に関する学科を専攻して卒業し、労働衛生に関する講座または学科目を修めた者
  5. 労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)に合格した者
  6. 労働衛生コンサルタント試験(労働衛生工学)に合格した者
  7. 第一種または第二種作業環境測定士の資格を有する者

持っている資格によって、受講しなければならない日数が変わります。 免除される科目が多いほど短いコースになる仕組みです。

中央労働災害防止協会 安全衛生教育センターのコースと受講料(テキスト代・消費税込み)
コース 受講料
5日コース 151,800円
4日コース 114,400円
2日コース 61,600円

このほか、すでに受講済みの科目がある場合などに「第3日〜第5日」だけを受ける部分受講コース (38,500円〜91,300円)も用意されています。 会場は東京と大阪の安全衛生教育センターです。 全科目を受講して修了試験に合格すると修了証が交付され、住所を管轄する都道府県労働局長に免許申請をして、 はじめて衛生工学衛生管理者免許になります。

出典: 中央労働災害防止協会「衛生工学衛生管理者コース」 https://www.jisha.or.jp/edu/course/list/8220_eiko.html (受講料・日程は変更されることがあります)

どんな事業場で必要になるか

衛生工学衛生管理者は、置かなければならない事業場がはっきり決まっています。 常時500人を超える労働者を使用する事業場で、 次の業務に常時30人以上の労働者を従事させている場合、 衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者から選任しなければなりません。

労働安全衛生規則第7条第1項第6号が対象とする業務
区分 業務
坑内労働 坑内における労働
第1号 多量の高熱物体を取り扱う業務および著しく暑熱な場所における業務
第3号 ラジウム放射線、エックス線その他の有害放射線にさらされる業務
第4号 土石、獣毛等のじんあいまたは粉末を著しく飛散する場所における業務
第5号 異常気圧下における業務
第9号 鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、ふつ素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリン、その他これに準ずる有害物の粉じん、蒸気またはガスを発散する場所における業務

ここは試験でもよく問われるところです。 対象は労働基準法施行規則第18条の第1号・第3号から第5号まで・第9号に限られていて、 同じ条文の中でも寒冷(第2号)、振動(第6号)、重量物(第7号)、騒音(第8号)は入っていません。

混同しやすいのが「専任の衛生管理者」の要件です。 専任のほうは第18条の各号すべてが対象で、常時1,000人超、または常時500人超かつ有害業務に常時30人以上、という条件でした。 対象となる号の範囲が違う点に注意してください。

選任の人数・要件を数字でまとめて確認する

第一種・第二種との関係

取得方法 合格率
第一種衛生管理者 免許試験(44問・3時間) 46.8%(2025年度)
第二種衛生管理者 免許試験(30問・3時間) 48.7%(2025年度)
特例第一種衛生管理者 免許試験(20問・2時間/第二種免許保有者) 非公表
衛生工学衛生管理者 講習+修了試験 非公表

衛生工学は第一種の上位互換ではなく、役割が違います。 第一種はすべての業種の事業場で衛生管理者になれる免許、衛生工学は有害業務のある大規模事業場で 必ず1人置く必要がある免許です。第一種に合格していることが衛生工学の受講資格のひとつになっている、 という関係にあります。

よくある質問

衛生工学衛生管理者の合格率は?

公表されていません。衛生工学衛生管理者は免許試験ではなく、厚生労働大臣が定める講習(都道府県労働局長の登録を受けた者が行う講習)を受けて取得する免許です。講習の最後に修了試験がありますが、その合格率は実施団体から公表されていません。安全衛生技術試験協会が公表している合格率の一覧にも、衛生工学衛生管理者の行はありません。

衛生工学衛生管理者に試験はありますか?

受験して取る免許試験はありません。講習の途中と最終日に行われる修了試験に合格することで修了証が交付され、それを添えて都道府県労働局長に免許申請します。第一種・第二種の衛生管理者免許試験とは取得の道筋がまったく違います。

衛生工学衛生管理者の講習は誰でも受けられますか?

受けられません。工学または理学の課程を修めて大学・高等専門学校を卒業した、第一種衛生管理者免許試験に合格した、労働衛生コンサルタント試験に合格した、作業環境測定士の資格を持っているなど、定められた受講資格のいずれかに該当する必要があります。

講習の費用と日数は?

中央労働災害防止協会の安全衛生教育センターが実施するコースの場合、5日コースが151,800円、4日コースが114,400円、2日コースが61,600円です(テキスト代・消費税込み)。持っている資格によって受講が必要な日数が変わります。会場は東京と大阪です。

衛生工学衛生管理者はどんな事業場で必要ですか?

常時500人を超える労働者を使用する事業場で、坑内労働または労働基準法施行規則第18条第1号・第3号から第5号まで・第9号に掲げる業務に常時30人以上の労働者を従事させている場合、衛生管理者のうち1人を衛生工学衛生管理者免許を受けた者から選任しなければなりません(労働安全衛生規則第7条第1項第6号)。

第一種衛生管理者との違いは?

第一種は免許試験に合格して取る免許で、すべての業種の事業場で衛生管理者になれます。衛生工学は講習で取る免許で、有害業務のうち一定のものを扱う大規模事業場で必ず1人置かなければならない、いわば上乗せの資格です。第一種に合格していることが衛生工学の受講資格のひとつにもなっています。

このページは中央労働災害防止協会、公益財団法人 安全衛生技術試験協会および法令の公表情報をもとに、当サイトが整理したものです。 受講資格・受講料・日程・法令は変更されることがあります。申込みの前に必ず実施団体の公式情報をご確認ください。