第一種衛生管理者/第5章 労働衛生(有害業務)

★★★ 出題の目安 3/3 2回とも2問ずつ出題。

物理的因子による健康障害

放射線の確定的影響と確率的影響、騒音性難聴が4000Hzから始まること、減圧症が窒素の気泡であることが頻出です。

動画で見る(約6分)

音声は合成音声です。字幕をつけて見られます。内容はこのページの解説と同じで、続きから再生できます。

電離放射線:2種類の影響

この区別が最重要です。しきい値があるかどうかで分かれます。

確定的影響(しきい値あり)線量しきい値重症度超えると必ず起こり、線量が増えるほど重くなる脱毛・皮膚障害・白内障・造血機能低下確率的影響(しきい値なし)線量発生確率線量が増えるほど発生する確率が高まる発がん・遺伝的影響
電離放射線の2種類の影響。しきい値があるかどうかで分かれる
確定的影響 しきい値がある。ある線量を超えると必ず起こり、線量が増えるほど重くなる。脱毛、皮膚障害、白内障、造血機能低下など。
確率的影響 しきい値がない。線量が増えるほど発生する確率が高まる。発がん、遺伝的影響。

急性障害と晩発障害

影響が現れる時期による分類もあります。被ばく後数週間以内に現れるのが急性障害、数か月から数年以上経ってから現れるのが晩発障害です。

白内障やがんは晩発障害にあたります。

騒音性難聴は4000Hzから

騒音による聴力低下は、会話音域より高い4000Hz付近から始まります。オージオグラムでこの付近が谷になる形をc5ディップといいます。

会話に使う周波数帯はしばらく保たれるため、本人が気づきにくいのが特徴です。気づいたときには進行していることが多く、治りにくい(回復しにくい)点も問われます。

騒音の評価には等価騒音レベル(変動する騒音を一定時間の平均として表したもの)が用いられます。

500Hz1000Hz2000Hz4000Hz8000Hz0204060聴力レベル(dB)正常騒音性難聴(c5ディップ)会話音域(500〜2000Hz)はしばらく保たれる下に行くほど聞こえが悪い。4000Hz付近だけ落ち込むので本人が気づきにくい
騒音性難聴は会話音域より高い4000Hz付近から始まる(数値は説明用の例)

振動障害

チェーンソーや削岩機などの局所振動による障害では、末梢循環障害・末梢神経障害・運動器障害が起こります。

代表的なのがレイノー現象(白ろう病)で、寒冷にさらされると指が白くなります。冬季に発生しやすい点が問われます。

高温・低温・高気圧

それぞれ特徴的な障害があります。

熱中症 I度〜III度に分類。高温多湿で発生。
熱けいれん 大量の発汗後に水分だけを補給して血液中の塩分が不足し、筋肉のけいれんが起こる。
凍瘡(しもやけ) 0度以上の低温でも起こる。凍傷とは区別する。
低体温症 全身が冷やされ、体内の温度が35度以下に低下した状態。
減圧症 高圧下で血液に溶け込んだ窒素が、減圧により気泡となって血管を塞ぐ。関節痛や神経症状。

減圧症は窒素

減圧症(ベンズ)の原因になるのは窒素であって酸素ではありません。「酸素の気泡が原因」とする選択肢は誤りです。

高圧下では空気中の窒素が血液や組織に溶け込み、急に減圧するとそれが気泡になって血管を塞ぎます。

非電離放射線

電離作用のない放射線でも障害が起こります。

紫外線 電光性眼炎(溶接工の眼の障害)、皮膚の紅斑・色素沈着。
赤外線 白内障、皮膚の熱傷。
レーザー光線 網膜の熱傷。強力なものは失明のおそれ。
マイクロ波 組織の加熱作用。白内障を起こすことがある。

職場ではどう使う?

プレス工場の定期健診で4000Hzだけ聴力が落ちている社員が何人か出てきたら、騒音性難聴の初期で、本人は気づいていません。等価騒音レベルで作業場を測り、85dB以上なら作業環境の改善と防音保護具の検討が要ります。

冬にチェーンソー作業者の指が白くなるのはレイノー現象です。

試験ではどう問われる?

確定的影響と確率的影響の説明を入れ替えた選択肢(「発がんはしきい値がある確定的影響」)、「騒音性難聴は会話音域から始まる」「減圧症は酸素の気泡が原因」が定番の誤りです。

非電離放射線では、紫外線(電光性眼炎)と赤外線(白内障)の組合せを入れ替えます。

よくある質問

確定的影響と確率的影響の違いは?

確定的影響はしきい値があり、ある線量を超えると必ず起こって線量が増えるほど重くなります。確率的影響はしきい値がなく、線量が増えるほど発生確率が高まります。発がんと遺伝的影響が確率的影響です。

騒音性難聴はなぜ気づきにくいのですか?

会話音域より高い4000Hz付近から低下が始まるためです。会話に必要な周波数はしばらく保たれるので、自覚したときには進行していることが多くなります。

減圧症の原因は酸素ですか?

窒素です。高圧下で血液や組織に溶け込んだ窒素が、減圧によって気泡となり血管を塞ぐことで起こります。

読んだ内容が身についた?(確認問題3問)

選択肢を押すと、その場で正誤と解説が出ます。間違えた問題は学習マップに残ります。

  1. Q1

    騒音による健康障害に関する記述として正しいものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:2 騒音性難聴は、初期には4000ヘルツ付近の聴力低下(c5-dip)から始まる

    騒音性難聴は4000ヘルツ付近から始まり、オージオグラム上でくぼみができることからc5-dipと呼ばれます。内耳の有毛細胞の障害で、回復は困難です。会話音域より高い周波数から進むため、本人が気づきにくいのが問題になります。騒音はストレス反応や自律神経への影響も生じます。 評価には等価騒音レベル(変動する騒音を一定時間の平均として表したもの)が用いられます。瞬間の最大値ではない点も問われます。

    問題番号 1-btr-001(誤りに気づいたらお知らせください)

  2. Q2

    高温環境による健康障害のうち、体内の水分と塩分が失われ、筋肉のけいれんが生じるものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:3 熱けいれん

    熱けいれんは、大量の発汗に対して水分だけを補給し塩分が不足したときに、筋肉のけいれんとして現れます。熱射病は体温調節中枢の機能障害で意識障害を伴い最も重篤、熱虚脱は皮膚血管の拡張による循環不全です。 熱けいれんは水分だけを補給して塩分が不足したときに起こります。予防には水分とあわせて塩分の補給が必要だ、という結論につながります。

    問題番号 1-btr-002(誤りに気づいたらお知らせください)

  3. Q3

    電離放射線による健康障害のうち、確定的影響(しきい値がある影響)に該当するものはどれか。

    答えと解説を見る

    正解:3 皮膚障害・造血機能障害

    確定的影響はしきい値があり、被ばく線量が一定以上で必ず発生します。皮膚障害、造血機能障害、白内障、不妊などです。確率的影響はしきい値がなく、線量とともに発生確率が高まるもので、発がんと遺伝的影響が該当します。 時期による分類もあります。被ばく後数週間以内に現れるのが急性障害、数か月から数年以上たって現れるのが晩発障害で、白内障やがんは晩発障害です。

    問題番号 1-btr-003(誤りに気づいたらお知らせください)

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解説と例題は学習用に当サイトが作成したものです。例題の数値はすべてオリジナルで、 公表試験問題(安全衛生技術試験協会の著作物)の本文・選択肢・数値は使用していません。